- ラヴクラフトがタコを嫌ってチョコを好んだ。つまり、それくらいどうでもいいって話 -
空港からバスで移動。街でレンタカーを借りてそこから移動。先発組から次々とメッセージで追加される不足品のお使いを済ませ、目的地に着く頃にはすっかり日が高くなっていた。
山中の、ミントが生い茂った古い民家。
庭には三台の車が停められていたが、まだスペースがあったので、一番左端のワゴンに横付けした。トランクに積んだ自分の荷物を持って玄関を開けると、ベネットが迎え入れてくれた。
「よぉ!お疲れさん!」
「おう」
ベネットはお使い分の買い物袋を受け取り、荷物を二階へ置くようにと促した。リビングとダイニングからそれぞれのメンバーの「お疲れさま」という言葉が飛び交う。
二階の荷物部屋に荷物を置いて一階に下りると、何人かがベネットの周りに集まってやれ灰皿だ、コーヒー豆だ、と自分のリクエスト品を受け取ってはまるで決められているかのようにそれぞれの場所に戻っていった。
リビングではTRPGに興じている連中の隣、ジョンがジェーンの膝枕でうたた寝している。そのさらに隣、それを不服そうにしているマイカがいた。
サリーと共にキッチンの方にいったマシューがカウンター越しに声をかけてくる。
「レオン、昼飯は?」
「食べてない。なんかある?」
「作ってやるよ。クラブハウスサンドでいい?」
「ああ」
ダイニングテーブルにつくと、向かいに座っているベルがお、そらくスポーツドリンクらしきものが注がれたコップを手に取りながら「夜までもたなかったか」とぼそりと呟き、それが聞こえたらしいサリーが少し笑った。
「レオン、ライナスは?」
「ちゃんと送り届けてきたよ」
「そう。ありがと」
トランジットを待っている最中、バカンスに乗り気ではなかった片割れから送られてきた自撮り(彼の生意気な友達と一緒)の写真をベルに見せてやった。
「ところで、あいつら何やってんの?」
メンバーたちとは一日あまり離れていたが、表情を注視すると一部のやつらは早速何かあったのかもしれないことがわかる。サリーがリビングにいる連中に目を向けながら答える。
「クトゥルフ神話TRPG。ルールブックとダイスが本棚にあったんだって。たしか、今やってるシナリオは……、『悪霊の家』だったかな」
マシューが俺の目の前にクラブハウスサンドの皿を置いたその瞬間、フィジカルステータスが強めの探偵役をやっていたジャレッドが、ここぞという場面で成功判定を出したらしく、歓声が上がった。
