– 飲めや歌えや、たまにはいいんじゃねえの –
ソーセージに、ハム、ザワークラウトの瓶詰、じゃがいもとその他夏野菜、ビールの樽、ワインの樽、ミネラルウォーター1ダース。
街で調達したそれらの食糧を積み込んだ車を1時間ほど走らせ、山中の一軒家に到着した。それは街で見られた木組みの家とは違い、質素でいかにも古そうな家だった。
ドイツ連邦共和国ヘッセン州ギーセン行政管区のラーン=ディル郡、ブラウンフェルスからほど近いクソ田舎。それが今年のバカンスの舞台。
「ベネット、おつかれさん」
車を停めて、マシューと共に荷を下ろしていると、先に到着していたダニエルとベル、そしてモーゼスが家から出てきた。
「モーゼス、手伝ってくれ」
丁度、ミネラルウォーターのケースを下ろしていたマシューが言うと、モーゼスは早足で車に歩み寄り、積み荷を下ろしにかかった。
ベルも野菜の入った袋など、比較的軽めの荷物を次々に手に取る。
「他のやつらは?一緒に来たんじゃねえの?」
「街で手分けして食糧調達って話だったからな。二人もグルメがいるんじゃ、いくら寄り道したって足りねえだろ」
そう返すとダニエルはチームの大食らいどもの顔を思い浮かべたのだろう、苦笑いをした。
「そんなことより樽運ぶぜ」
「豪快だな」
5人で手分けして、ようやく車の中の荷物(着替えや旅行セットも含む)を下ろし終えたころ、1台のワゴンが家の前に停まった。
運転席からマイカ、助手席からはジョン、後ろの席からサリー、ジャグ、ジェーンがそれぞれ降りてきた。
「マイカ、遅かったじゃん」
「サリーとジャグが信じらんねぇくらいこの辺の店調べ込んできててよぉ」
「おかげで俺達かなり長い時間拘束された。腰いてぇ……」
長時間のドライブに付き合わされたマイカとジョンは、各々肩を回したり、腰を軽くたたいてみせたりした。当の本人たちとジェーンは、そんなこと気にも留めず、きゃっきゃうふふと荷物を下ろしている。
「それじゃあ長旅の成果をうちの料理長に報告してやれよ」
空は濃い藍色に染まり、ちらほらと星が輝き始めている。宴の夜はすぐそこまで迫っていた。
長くて短いバカンスが始まる。
