The travelers – Day.5

– 非日常に生きる –

ベネットのリクエストはフォレレ・ブラウだったが、マシューは釣果の魚たち(ほとんど私が釣った)をすべからくフライにした。一昨日とは打って変わって大漁だったので、みんなで捌くのを手伝った。

「明日、お前らに良い酒飲ませてやるよ」

ダイニングテーブルは狭くて全員座ることができないので、リビングで食事をとっていた。

そんな折、ダニエルが口の端についたタルタルソースを拭いながら、メンバーたちにそんなことを言った。

「ラインガウ?自分のお土産にするんじゃなかったの?」

樽の残りも少なくなったビールを煽りながら、機嫌の良さそうなマシューがダニエルに聞き返す。

「お前が提供しろっつってたんだろ。しょうがねぇから皆に飲ませてやるよ!」

「とか言って、持ち帰るの面倒になったんだろ」

ライオネルが呆れたような視線を向けると、ダニエルは「バレたか」と笑った。

「食材も片付けなくちゃなぁ。まだベーコンとかそこそこ残って……」

「任せて!」

マシューが言い切る前に、ジャグが身を乗り出した。その口からテーブルに少し飛んだ食べカスを、モーゼスが嫌そうな顔でふき取る。
ベネットが、傍らにあったまだ中身の残っているキルシュヴァッサーのビンをぽんぽんと叩いた。

「んじゃ明日は昼間っつか朝から飲もうぜ。最終日だしパーッとな」

「いいねぇ」

「じゃあ、私のフェーダーヴァイザーも提供するか」

「よっ!ベル、太っ腹!あ、腹がたるんでるとかそういう意味じゃなくて」

「一言多いんだよ、お前は!」

囃し立てるダニエルに、ベルの惜しみない一撃が振り下ろされた。

「最終日に向けて、胃を休めたいな……」

「じゃあ夕飯はツヴィーベルズッペにしてやるよ」

「何それ?」

「オニオンスープ」

「ならそう言えよ」

ジョンとマシューのやり取りに、ベネットがちゃちゃを入れる。

5日目は、驚くほど穏やかに時間が過ぎていった。
BGMに有名映画のDVDが流され、TRPGをやる連中、トランプに興じる連中、古びた本や雑誌をめくる連中。

夕食と、最終日のための料理の仕込みをするためマシューとキッチンに立った。

「マシューは満足?」

「なにが?」

「料理がたくさんできて」

「そりゃもちろん」

おおよそ、世間と隔絶された世界に生きているとは思えなかった。