その命の終わりに

「……終わった、」

ザリくんがつぶやいた。

目の前には煌黒龍の亡骸が横たわっている。

剥ぎ取り用のナイフを取り出し、その亡骸を手際よく「素材」にしていく様をただ眺めていた。

ふと、彼が振り返りナイフを差し出す。

急に狩猟笛の重さがわずらわしく感じられて、笛を放り出してナイフを受け取った。

逆立つ鱗に鋭利な刃を突き立てたとき、ようやく声が出た。

「ねえ、私たち化け物だね」

その言葉がザリくんに届いたとき、彼は一瞬目を見開いたが「そうかも」と頷くだけだった。

本国から戻った総司令の口からミラボレアスの名前が出たときは心が躍った。

戦いに高揚したのではない。何もかも終わらせられるかもしれないという希望があったからだ。

全力で、足掻いて、それでもなお打ちのめされるんだろう。

そう思ったのに、結局私たちはミラボレアスを殺してしまった。

皆それを心から喜んでいたのに、私たちだけが空虚に支配されている。 まるでこの世界にただひとつ残ってしまった異物のような。

編纂者から「黒龍は破壊に特化しすぎている」という考えを聞いて、ようやく溜飲が下がったような気がする。

黒龍は私たちだったんだ。

壊すことで生きていた。

私たちはきっとこれからも。